フランス代表としても活躍するマルクス・テュラムは、欧州のトップクラブが注目する大型フォワードのひとり。
父はあの名DFリリアン・テュラムであり、恵まれた体格と高い身体能力を受け継いでいる。
この記事では、マルクス・テュラムのプレースタイルを徹底解説する。
Contents
マルクス・テュラム|基本情報
Embed from Getty Images①生年月日 | 1997年8月6日(27歳) |
②国籍 | フランス |
③身長/体重 | 192cm/88kg |
④所属クラブ | インテル・ミラノ |
⑤ポジション | FW |
⑥背番号 | 9番 |
⑦利き足 | 右足 |
⑧推定年俸 | ???万ユーロ |
マルクス・テュラム|経歴
Embed from Getty Images年 | クラブ | 出場 | 成績 |
---|---|---|---|
14/15 | FCソショー ![]() | 1 | -G:-A |
15/16 | FCソショー ![]() | 15 | -G:1A |
16/17 | FCソショー ![]() | 21 | 1G:1A |
17/18 | EAギャンガン ![]() | 32 | 3G:3A |
18/19 | EAギャンガン ![]() | 32 | 9G:1A |
19/20 | ボルシアMG ![]() | 31 | 10G:8A |
20/21 | ボルシアMG ![]() | 29 | 8G:7A |
21/22 | ボルシアMG ![]() | 21 | 3G:1A |
22/23 | ボルシアMG ![]() | 30 | 13G:6A |
23/24 | インテル・ミラノ![]() | 35 | 13G:13A |
24/25 | インテル・ミラノ![]() | 32 | 14G:7A |
マルクス・テュラム|プレースタイル
ここからはマルクス・テュラムのプレースタイルを解説していく。
🔵直線的な爆発力と柔軟な足技を兼備ードリブル突破力
Embed from Getty Imagesマルクス・テュラムの最大の特徴は、190cm超の体格と爆発的な加速力を兼ね備えたフィジカルモンスターであることだ。高い身体能力により、相手DFとの競り合いに強く、前を向いた時の推進力は止めるのが非常に困難である。
■圧倒的なフィジカルと直線的推進力
192cm・90kgという巨体を持ちながら、テュラムはスプリントにも優れ、トップスピードに乗った際の推進力はまさに“重戦車”。一度加速すれば、2〜3人のDFを物理的に振り切ってしまう場面も少なくない。
■シザースと切り返しでDFの逆を突く
テュラムのドリブルには細かな技術的工夫も見られる。独特のリズムでシザースや切り返しを多用し、相手DFの重心をずらす。ドリブル中にスピードの緩急を使い分けることで、DFのタイミングを狂わせる。タッチ数を少なく保ちつつ、“相手の逆を突く判断力”に優れており、身体だけでなく思考でも相手を上回る。
■ウイング起用時の破壊力
もともとウイングでの経験も豊富なテュラムは、左サイドに流れた際の縦への突破力に特に威力を発揮する。タッチライン際から一気に縦へ抜け、自らシュートまで持ち込むパターンが多い。重心が高い選手にしては非常にバランスが良く、多少の接触では倒れずに走り続ける粘り強さもある。
マルクス・テュラムは、相手DFの逆を突く判断力と、細かなフェイントの引き出しを持つ点で、単なる“フィジカル任せ”の選手とは一線を画す。
🔵可変性に富んだプレースタイル
Embed from Getty Imagesマルクス・テュラムは、試合状況や戦術に応じて“役割を変幻自在に切り替える”ことのできる稀有な存在だ。
■CF:ゴールに直結する働き
空中戦の強さと前線でのタメを作る能力を兼ね備えており、クロスへの対応力も高い。足元に収めて味方を使うプレーと、自らフィニッシュに持ち込むゴール前の鋭さが共存しており、まさに“万能型”のCFとして機能する。
■WG:サイドで仕掛け、個で局面を打開
サイドに流れてボールを受けると、持ち前のスピードとフィジカルで相手DFをねじ伏せる。カットインから放たれる強烈なシュートは、GKにとって大きな脅威だ。ピッチの幅を使った動きは、相手守備を広げ、ラウタロ・マルティネスら中央の選手にスペースを生み出す。
■ST:スペースを創造し、ゲームを読む
前線でのボールキープ力とパス精度を活かし、相手を背負いながらも落としやスルーパスでラウタロの裏抜けを引き出す。さらに、サイドに流れて起点となる動きは、ウイングバックの攻め上がりとも噛み合い、インテルらしい攻撃の形を作っている。また、スペースを与える動きや囮のランでラウタロをサポート。実際、23-24シーズンはセリエAで13アシストを記録している。
🔵空中戦における絶対的優位性
Embed from Getty Imagesマルクス・テュラムは、地上での突破や前線からの守備だけでなく、空中戦においても群を抜いた存在感を放っている。
■抜群のフィジカルと身体能力による優位性
テュラムは身長192cm・体重90kgという体格に加え、跳躍力、バネ、柔軟なバランス感覚を兼ね備えており、まさに空中戦向きの身体を持つ選手だ。空中での体幹の強さとバランスによって、競り合いの中でも崩れず、正確なヘディングを打てる。相手DFが接触を試みても簡単には姿勢を崩さず、空中でのフィジカルデュエルにおいて明確な優位性を持っている。
■フィニッシャーとしての完成度
単に競り勝つだけでなく、そこから正確かつ力強いヘディングシュートを放つ。体のバネを活かした垂直方向のジャンプにより、高い打点から抑えの効いた高精度ヘディングを繰り出すことができる。またクロスの質に依存せず、難しい体勢からでもゴールに向かうヘディングができる。
■空間認知と落下地点を読むセンス
テュラムが特に優れているのは、ボールの軌道と落下地点を読む力である。ボールの放たれた瞬間に動き出し、最も有利な位置へ入り込む判断力、マークを外すポジショニングの工夫(前に入る・背後から抜けるなど)、密集の中でも自分のジャンプスペースを確保する体の使い方、これらすべてが非常に洗練されている。
セットプレーやクロスを最大限に活用するチームにとって、テュラムのような選手は戦術的な核となり得る。
🔵献身的な守備とカウンター
Embed from Getty Images前線からの守備とプレッシングにおける貢献こそが、テュラムのプレースタイルを語るうえで見逃せない要素である。
■豊富な運動量と広範なカバー範囲
テュラムは大柄な選手にありがちな“局所的なプレーヤー”ではない。試合を通じて高い走行量を維持し、幅広いエリアをカバーする。とくにサイドに流れてのサポートや、中盤まで下がって守備ブロックに加わる動きが多く見られる。
■“守備の起点”としての役割
インテルにおいてテュラムは、ラウタロ・マルティネスと2トップを組み、前線の守備ブロック形成の軸となっている。テュラムのプレスの方向や強度に応じて、中盤の選手が連動し、相手の縦パスや斜めの展開を遮断する仕組みが整っている。
■ポジティブトランジション
ボール奪取の瞬間、テュラムの最初の動きは極めて速い。相手最終ラインが整う前の瞬間的なギャップを突き、加速力を活かして背後へ一気に抜け出す。フィジカルとスピードを兼ね備えた選手だけに、スペースがある状況ではファールなしでは止めようがない。
マルクス・テュラム|エピソード
Embed from Getty Images■政治的発言と社会的立場
2024年の欧州選手権では、マルクス・テュラムとキリアン・ムバッペが極右政党への投票に反対するコメントを発表し、メディアで大きな注目を集めた。彼らの発言は、フランス国内での政治的対立を反映し、サッカー選手が社会問題に対して積極的に意見を表明する姿勢を示した。
■メッシからスパイクを借りた
10歳のマルクスがバルセロナで行われた父親の練習に同行した際、スパイクを持っていなかったため、当時19歳のリオネル・メッシからスパイクを借り、その後「君が持って行っていいよ」と言われたことがある。しかし、翌日、彼はそのスパイクを友人に譲ってしまい、後にその判断を後悔したと語っている。
■最も好きなことの一つは睡眠
テュラムはイタリア紙「コリエレ・デラ・セラ」のインタビューで、最も好きなことの一つは睡眠だと明かし
、「たくさん寝ます。1日14時間くらいです。」と語った。
■ドラゴンボールの大ファン
マルクスは『ドラゴンボール』の大ファンであり、特にベジータをお気に入りのキャラクターとして挙げている。このようなアニメやマンガへの関心は、彼の多面的な趣味を示している。
■アメリカのテレビ業界への興味
将来的には、アメリカのテレビ業界で活動したいと考えており、特に元フランス代表のティエリ・アンリがCBSで行っているような仕事に興味を示している。彼は、アメリカのテレビ業界がよりリラックスしており、フランスやイタリアよりも自由な雰囲気があると感じているようだ。
まとめ
マルクス・テュラムは、強靭なフィジカルと推進力のあるスプリント能力を備えた万能型フォワードである。
縦への突破を持ち味とするドリブルに加え、ハイプレスやトランジション局面での守備貢献も高く、前線からの守備を機能させる上で重要なピースとなっている。
今後さらに得点数を増やしていければ、世界トップクラスのストライカー入りも夢ではない。