近年のスペイン代表とFCバルセロナにおいて、最も注目を集める若手MFの一人がガビ(Gavi)だ。17歳でバルセロナのトップチームデビューを果たして以降、驚異的なスピードでレギュラーを獲得。ラ・マシア育ちのテクニカルな素養に、闘志と判断力を兼ね備えたそのスタイルは、「現代的インサイドハーフの完成形」とも称されている。
本記事では、ガビのプレースタイルの特徴や強み、ポジション別の役割、専門的な評価を徹底的に解説していく。
Contents
✅ ガビ|基本情報
Embed from Getty Images本名 | パブロ・マルティン・パエス・ガビラ |
生年月日 | 2004年8月5日(20歳) |
国籍 | スペイン |
身長/体重 | 173cm/68kg(クラブ公式発表) |
所属クラブ | FCバルセロナ |
ポジション | MF |
背番号 | 6番 |
利き足 | 右足 |
推定年俸 | 938万ユーロ |
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✅ ガビ|経歴
Embed from Getty Images年 | クラブ | 出場 | 成績 |
---|---|---|---|
21/22 | FCバルセロナ ![]() | 12 | 3G:1A |
22/23 | FCバルセロナ ![]() | 26 | 6G:1A |
23/24 | FCバルセロナ ![]() | 24 | 4G:2A |
24/25 | FCバルセロナ ![]() | 36 | 4G:5A |
▼ラ・リアラ・バロンピエ(2010–2012)
ガビは6歳のとき、地元のクラブ「ラ・リアラ・バロンピエ」に入団した。当時から卓越したボールコントロールとゲーム理解力を持ち、コーチたちから注目されていた。彼のニックネーム「ガビ」は、同じチームにもう一人のパブロがいたことから、姓の「ガビラ」に由来して付けられた。
▼レアル・ベティス・カンテラ(2012–2015)
8歳でレアル・ベティスの下部組織に加入したガビは、ミッドフィールダーでありながらアレビンカテゴリーにおいて95得点を記録するなど、異例の得点力を発揮した。この圧倒的なパフォーマンスにより、ビジャレアル、アトレティコ・マドリード、レアル・マドリード、そしてFCバルセロナといった国内のビッグクラブから注目を集める存在となった。
▼FCバルセロナ:ラ・マシア(2015–2021)
2015年、11歳のときにFCバルセロナの名門育成組織「ラ・マシア」に加入した。インファンティルAやカデテAといった各カテゴリーでキャプテンを務め、2018年にはアレビンチームを国際大会優勝へと導くなど、リーダーシップと卓越した技術を発揮した。2020年には16歳でフベニールAに昇格し、同年にはバルセロナBでの出場も果たしている。
▼FCバルセロナ:トップチーム(2021–現在)
2021年8月29日、17歳にしてラ・リーガのヘタフェ戦においてトップチームデビューを果たした。その後、UEFAチャンピオンズリーグやエル・クラシコといった重要な試合でも先発出場を果たし、2022年のスペイン・スーパーカップ決勝においてはゴールとアシストを記録し、マン・オブ・ザ・マッチに選出された。同年には「ゴールデンボーイ賞」および「コパ・トロフィー」を受賞し、ヨーロッパにおける最優秀U21選手として高く評価された。
▼スペイン代表
2023年にはスペイン代表としてワールドカップに出場し、18歳でゴールを決めたことで、同大会におけるスペイン代表最年少得点者として記録を打ち立てた。2024年には膝の重傷により長期離脱を余儀なくされたものの、2025年1月にはFCバルセロナと2030年までの契約延長に合意し、復帰後も中盤の中心選手として活躍を続けている。
✅ ガビ|プレースタイル
ガビのプレースタイルを語る上で欠かせないのは、その緻密な戦術理解と卓越した技術、そして高い精神性の三拍子だ。バルセロナの伝統であるポジショナルプレーを体現しつつ、現代サッカーが求める多様な役割をこなす彼の動きは、まさに次世代のミッドフィールダー像を示している。以下では、彼の特徴を専門家の視点も交えながら、多角的に解説していく。
狭いスペースで輝く、ガビの“瞬間的判断と展開力”
Embed from Getty Imagesガビの真骨頂は、ポジショニングの柔軟性と戦術理解の深さにある。彼はバルセロナの「ポジショナルプレー」の文脈の中で、5レーン理論を高度に体現する選手だ。インテリオール(インサイドハーフ)としての基本的な位置取りに留まらず、時にサイドに張ってウイングのように幅を取り、またある時はアンカー横に降りてビルドアップの出口役を担うなど、チーム構造に応じて最適なポジションを自ら選択できるのが彼の強みである。
これは、単なる「走り回る運動量」とは異なる。味方のポジションと連動しながら、空間と数的優位を生み出すための動きであり、まさに戦術的インテリジェンスの産物である。
実際に、2023年のエル・クラシコでは、ガビは左ハーフスペースから頻繁にサイドに流れ、バルデやレヴァンドフスキと三角形を形成。ポゼッションの安定と同時に、**相手の守備ブロックを外側へ引き出す“戦術的な釣り出し”**にも成功している。
監督のシャビも、「ガビはポジション理解が突出している。彼はまるでコーチのように状況を見て動ける」と高く評価。さらに『The Athletic』では、「まだ10代ながら、バルサの中盤においてポジショナル整合性を保つためのキーピースである」と言及されている。
スタッツ面では、パスの受け回数(90分あたり48.2回)やラスト3rdでのパス回数(15回超)といった指標が示す通り、彼の動きがチームの流動性を支えている。
ポジショナルプレーを体現する“自在型”インテリオール
Embed from Getty Imagesガビが中盤で放つ最大の存在感は、密集エリアでの判断スピードとボール処理能力にある。狭いスペースでも一切慌てることなく、最小限のタッチでボールをコントロールし、即座に最適な選択を下す。とりわけ、敵のプレッシャーをいなすファーストタッチの精度と、ワンタッチ・ツータッチで周囲と連動するショートパスのリズムは、バルセロナのポゼッションスタイルと見事に調和している。
実際に、スペインメディア『Mundo Deportivo』では、「ガビの狭いスペースでのボール扱いは、シャビとイニエスタの再来を感じさせる」と評され、中盤の圧力下でもプレー精度を落とさない強さが高く評価されている。
また、ライン間のスペースへの前進ドリブルも見逃せない。数的同数や相手の守備ブロックのスキマを見逃さず、あえて身体をぶつけながら侵入するプレーには、ラ・マシア仕込みの認知力と、トップレベルのフィジカルバランスが融合している。
たとえば、2022年クラシコでは、敵陣右ハーフスペースでペドリとのワンツーからDFラインの内側に入り込み、最終的に得点に繋がるチャンスを創出した場面が象徴的。瞬時に状況を把握し、相手の“認知のスキ”を突く読みの鋭さが、彼の真価である。
▶︎ ペドリのプレースタイルを戦術面から徹底解説する記事はこちら
スタッツ面でも、ガビは「プログレッシブパス受け数(1試合平均6.2本)」や「プレス耐性下でのパス成功率(84%以上)」などで高水準を維持しており、ビルドアップからチャンス創出までを担う“リンクマン”としての貢献度は群を抜く。
このように、ガビの展開力は単なる技術の高さにとどまらず、戦術的文脈における“意味のあるパスと動き”として成立している点に価値がある。シャビ監督が彼を重用するのも、その“意味の構築力”に信頼を寄せているからに他ならない。
ピッチを支配する精神力と揺るぎないリーダーシップ
Embed from Getty Imagesガビの最大の武器は、若さを感じさせない成熟したメンタリティの強さとリーダーシップにある。わずか10代でありながら、バルセロナやスペイン代表の中盤で精神的支柱として存在感を放っている点は、多くの専門家が注目するポイントだ。
指揮官のシャビは「ガビのリーダーシップは目に見えないが、ピッチの中でチームを鼓舞し、勝利に向けて全員を引き上げる力がある」と評価。スペイン代表監督のルイス・デ・ラ・フエンテも「単に技術が優れているだけでなく、戦術理解と闘争心、そして周囲を牽引する力を兼ね備えた理想的なミッドフィールダーだ」と称賛する。
実際の試合では、ガビは声を張り上げて味方に指示を送り、激しいプレッシングやポジショニングの修正を的確に行う。こうした行動は、試合の流れを変える重要な役割を果たし、チームの統率を保つ上で欠かせない要素だ。
また、彼の精神的強さは逆境時に特に発揮される。劣勢の試合でも冷静さを失わず、自ら積極的にボールを引き出して組み立て直す姿勢は、多くの解説者から「次世代のキャプテン候補」として期待されている。
ガビの守備的貢献:中盤のファイター
Embed from Getty Imagesバルセロナの中盤を支えるガビは、そのテクニックや攻撃センス以上に、ピッチのすべてのエリアで体を張る献身性で評価されている選手だ。ラ・マシア出身のMFというと技巧派のイメージが先行しがちだが、ガビはそれだけでは終わらない。むしろ、守備への執念とハードワークの強度こそが、彼のプレースタイルの中核を成している。
なかでも特筆すべきは、ボールに対する異様なまでの執着心だ。相手の足元にボールがあれば、どこまでも追いかける。前線からのプレスでも、サイドでの潰し合いでも、彼の中に“緩める”という選択肢は存在しない。タックルのたびに、全身で相手にぶつかっていく姿は、まさに“ボールの番人”そのものだ。
戦術的な視点から見ても、ガビの守備は実に精緻だ。**ビルドアップに入ろうとする相手の動きを読み、先手を打つ形でプレスをかけていく。**プレッシングの角度、タイミング、周囲との連動。どれを取っても、シャビ監督が「戦術的守備の見本」と評するのも納得の完成度である。
特に印象深いのは、躊躇なく体を投げ出すスライディングタックルだ。一見すると感情的なプレーにも見えるが、実際にはボール奪取の確率や、味方の配置まで計算された判断に基づくもの。**「彼の守備には情熱だけでなく、明確な意図と理性がある」**という解説者の声も決して誇張ではない。
さらに、守備のトリガーとなる判断力も彼の大きな武器だ。周囲の守備意識を感じ取りながら、自らがプレスのスイッチとなって連動を引き出す。これにより、ガビ一人の動きがチーム全体を前へと押し出す原動力になる。
もちろん、1対1の局面でも抜かりはない。サイズに恵まれたタイプではないが、低い重心を活かした踏ん張りや、転んでも即座に立ち上がる粘着力は、対峙する相手にとって非常に厄介な存在だ。倒れてもなお絡んでくるそのしつこさに、相手は精神的にも削られていく。
ラ・マシア育ちが証明する高いサッカーIQと戦術的洞察力
Embed from Getty Imagesガビは、バルセロナの育成組織「ラ・マシア」で徹底的に磨かれた高いサッカーIQを持つミッドフィールダーだ。ラ・マシアが掲げる「ボール保持とポジショナルプレーの哲学」を幼少期から体得し、試合のあらゆる局面で冷静な判断と的確な選択を繰り返す。
専門家は彼のプレーを「戦術的洞察に優れ、常に最適解を探る頭脳派MF」と評する。特に注目すべきは、狭いスペースでのパスコースの発見や、味方の動きを瞬時に把握し、連携を生み出す読みの深さだ。試合中、彼は相手の動きや守備の癖を観察し、効果的なポジション取りでチームのビルドアップを円滑にしている。
解説者も「ガビの最大の強みはピッチ上の“見えない指示”を出す能力。彼のサッカーIQはただのテクニック以上の価値を持ち、戦術理解がチーム全体の質を高める」と指摘。バルセロナの中盤に欠かせない知性として高く評価されている。
実際にシャビ監督も「ガビはラ・マシアの教えを体現する選手。自ら判断し、周囲を動かすことができる点が特に際立っている」とコメントしている。
✅ ガビ|エピソード
Embed from Getty Images■家族との絆:父との「朝5時の旅」
ガビの父・パブロさんは、息子がラ・マシア(バルセロナの下部組織)に通っていた頃、毎日200km近くの距離を運転して送り迎えしていたことで知られます。アンダルシア州からバルセロナに引っ越す前、朝5時に起きて、学校→練習→帰宅という過酷なスケジュールを何年もこなしていたとのこと。
■スペイン代表合宿での生意気な弟キャラ
スペイン代表での初招集(2021年)当初、ガビは最年少でありながらも、堂々と先輩にタメ口に近い話し方をする一面があった。特に、モラタやブスケツに対して「今日のシュート、マジでひどかったっすよ」と言い放ち、代表スタッフが凍り付く場面も。だが先輩たちはむしろそれを面白がり、彼を「可愛い弟キャラ」として受け入れていったとか。
■オフではゲーマー! フォートナイト愛好者
意外な一面として、ガビは「フォートナイト」や「FIFA」などのゲーム好きでもあり、代表合宿の空き時間にはチームメイトとオンライン対戦を楽しむそうである。ペドリやアンス・ファティと深夜までプレイして、翌日の朝練に遅刻しそうになったという微笑ましいエピソードも。
まとめ|“バルサの魂”を体現する新世代MF、ガビ
ガビは、テクニックやフィジカルに優れた若手選手という枠を超え、バルセロナの哲学を体現する存在へと進化を遂げている。ポジショニング、プレッシング、ビルドアップの関与に至るまで、ピッチ上のあらゆる局面で高いクオリティを発揮。インテリオールとしての柔軟性と知性は、まさに“ラ・マシアの申し子”を思わせる。
スペイン代表でも若くして信頼を勝ち取っており、ガビのプレースタイルは「現代的ミッドフィルダーの理想形」と言っても過言ではない。
ペドリやフレンキー・デ・ヨングとの連携は今後さらに深みを増し、チームの中核を担う存在としてその価値は高まっていくだろう。